関連イベント
当館学芸員によるギャラリートーク
2022年2月6日(日)
参加無料
令和3年度 第5回企画展
2022年1月25日(火) ~ 4月3日(日)
※各会期で絵画作品は全点展示入替があります。
信仰の対象として、また芸術の対象として古くから日本人に親しまれてきた富士山。2013年には『富士山-信仰の対象と芸術の源泉』として世界文化遺産に認定されました。本展では芸術と信仰の二つのテーマで富士山を紹介します。
大展示室では名所絵師として名を馳せた歌川広重が、その画業の晩年に手掛けた富士山をテーマにした二つのシリーズ作品『冨士三十六景』と『不二三十六景』を中心に広重の描く浮世絵に描かれた富士山を紹介。小展示室では江戸時代の中頃から庶民の間に広がった富士講ブームを富士登拝のための登山道を描いた絵地図を中心に、芸術と信仰の両面から見る富士山を紹介します。
不二三十六景は広重が描いた最初の富士三十六景シリーズで、嘉永五年(1852)頃に版元佐野屋喜兵衛から刊行されました。大きさは横中判で『冨士三十六景』のちょうど半分です。広重の横絵作品には珍しく「東都両國橋下」や「駿河田子の浦」において「近像型構図」が用いられ、晩年の画風変遷を辿る上で重要な作品です。
冨士三十六景は竪大判の錦絵で、広重が没する安政五年(1858)に版下絵が制作され、翌年に版元蔦屋吉蔵から出版されました。竪長の画面を生かすために俯瞰図法を用い奥行を広く取って遠近感を出したり、近景のモチーフを拡大して描く「近像型構図」を用いた画面構成が斬新な作品です。